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医療費の抑制を目的に導入された「メタボ健診」、腹囲基準に批判の声も

基準値には異論も出ています

厚生労働省は2008年4月、企業の健保組合や地方自治体などの保険者に、40〜74歳の人を対象に、腹囲の測定などを測定してメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)かどうかを判定する「特定健診・保健指導(通称:メタボ健診)」を義務付けました。

腹囲が、男性で85センチ以上、女性で90センチ以上あり、血圧、血糖値、脂質のいずれか2つ以上の項目で異常値を示した場合にはメタボリックシンドローム、いずれか1つが異常な場合をそのの「予備軍」と判定され、その度合いによって医師や保健師などが生活習慣の改善アドバイスを行う「動機づけ支援」や「積極支援」の対象となります。

このメタボ健診が導入された背景には、国の財政を逼迫している年間35兆円以上の医療費を削減したいという政府の思惑があります。心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病の治療だけで毎年10兆円以上が費やされており、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを持った人をこの健診で早期に発見し、予防につなげたいというわけです。

腹囲の基準は、一般人の腹部の内臓脂肪をCT(コンピューター断層撮影)で測定し、その結果、内臓脂肪の面積が100平方センチを超えると、高血圧や高血糖になる確率が上がると認められた男性85センチ、女性90センチに決定されました。

しかし、男性の基準が女性よりも厳しいことに疑問の声を寄せる専門家も少なくなく、腹囲の測定をメタボ健診の必須項目に入れるべきではないという声もあります。ちなみに世界160者国が加盟している国際糖尿病連合が定めた日本人の基準値は、男性が90センチ以上、女性80センチ以上と女性の方が厳しく設定されています。

また、日本人の場合は痩せ型の人でも血糖値が高いケースが少なくないため、必須項目である腹囲の数字だけに目を取られていると、そうした人を見逃してしまう可能性があります。

当初の予定では、2013年からは健診の受診率や保健指導の実施率、メタボ該当者と予備軍の改善率などのよって、保険者が拠出する支援金の増減を行うペナルティが導入される予定となっていますが、この健診で心筋梗塞や脳梗塞による突然死を減らすことができる、あるいは医療費を抑制できるという科学的な根拠が乏しいため、ペナルティの実施には保険者の反発が予想されます。

ただし、メタボ健診の導入以降、マスコミ等でメタボを取り上げる機会が増え、内臓脂肪や血圧に注目したトクホ(特定保健用食品)などの市場が拡大したことから、国民の意識を高めるうえでは効果があったことは間違いないでしょう。

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